◎要約:『セルトラリン+ブレクスピプラゾールの組み合わせは、セルトラリン単独よりもPTSDの症状を大きく改善するかもしれない』

PTSDに対する薬物療法としては選択的セロトニン再取り込み阻害薬: SSRIが選択されることが多いと思われますが、今回はSSRI(セルトラリン)とブレクスピプラゾール(抗精神病薬)の併用による効果を調べた研究をご紹介します。
Brexpiprazole and Sertraline Combination Treatment in Posttraumatic Stress DisorderA Phase 3 Randomized Clinical Trial
PTSDに対するブレクスピプラゾールとセルトラリンの併用療法
アメリカにおける研究で、PTSDに罹患した外来患者1,327人(平均37.4歳、74.5%が女性)が対象となりました。
対象者をセルトラリン+ブレクスピプラゾールまたは、セルトラリン+偽薬のグループに分けて、PTSDの症状を11週間の経過で調べました。
結果として以下の内容が示されました。
・セルトラリン+ブレクスピプラゾールのグループで、セルトラリン+偽薬よりも、PTSDの症状改善が大きくなっていました(今回用いられたPTSDの症状尺度 Clinician-Administered PTSD Scale for DSM-5 : CAPS-5でセルトラリン+ブレクスピプラゾールが-19.2点の軽減だったのに対して、セルトラリン+偽薬では-13.6点の軽減にとどまっていました)。
・副作用(吐き気、眠気、体重増加等)による中断率はセルトラリン+偽薬の方が、セルトラリン+ブレクスピプラゾールよりも高くなっていました(10.2% vs 3.9%)。
PTSDの症状軽減が大きいだけではなく、併用したほうが副作用による中断が少ない点も有益である印象が強い内容でした。
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