rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)による左側頭葉への低頻度刺激で幻聴が軽減するという報告はありますが、まだ議論があるところです。
今回は、左側頭葉に対する高頻度(20Hz)の刺激で、どのような効果を得られるのか調べた研究(2017年)をご紹介します。
ナビゲート付き高頻度rTMSの言語性幻聴に対する効果
言語性の幻聴を伴う統合失調症または統合失調感情障害の患者59人をrTMSを行うグループと偽刺激を行うグループに分けました。
MRIを用いたガイドを行い左側頭葉のSTS(上側頭溝 superior temporal sulcus)の分岐点に対して磁気刺激を行い、4週間の経過で幻聴の頻度(Auditory Hallucinations Rating Scale で測定)を調べました。
結果として、途中経過の2週間ではrTMSの効果が大きくなっていました(効果のあった割合がrTMS34.6% vs 偽刺激9.1%)。しかし、研修の最終時点である4週では違いがはっきりしなくなっていました。
つまり、“左側頭葉の高頻度磁気刺激は、最初は効果的に幻聴を少なくしていたが、評価期間を延ばすとはっきりしなくなる”と言えそうです。
さらに長期での効果については分かりませんが、今回検証された方法では、効果のはっきりしない結果となりました。
コメント