現在までに直流電気刺激(tDCS)や反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)等の神経刺激が統合失調症の陰性症状に有効であるという指摘がされてきました。
今回は、統合失調症の陰性症状に対する非侵襲的な脳刺激法の有効性を調べた研究のまとめ(メタ・アナリシス)をご紹介します。
統合失調症の陰性症状に対する非侵襲的脳刺激法の効果
48のランダム化比較試験(2,211人の参加者 平均38.7歳)が分析の対象となりました。
全体の研究をまとめ、ネットワーク・メタ・アナリシスという間接的な比較も含めた方法で分析しました。
結果として、今回対象となった脳刺激法(高精度経頭蓋ランダムノイズ脳刺激法、反復経頭蓋磁気刺激法: rTMS、経頭蓋直流電気刺激: tDCS、間欠的シータバースト刺激 部位:左背外側前頭前野 抑制刺激の有無を問わず)の全部で、偽刺激に対して陰性症状の明らかな改善を認めていました。(例: 高頻度反復経頭蓋磁気刺激法 rTMSで、-0.43SMD:効果の差を示す目安)
また、治療中断(脱落)の割合を比較したところ、偽刺激との差異はない結果となっていました。
つまり、“様々な様式の非侵襲的脳刺激法が統合失調症の陰性症状に有効である可能性がある”と言えそうです。
現在、陰性症状に対しては薬物療法の効果が限定的である場合が多く、脳刺激を付加することによる治療効果が期待される内容でした。
もりさわメンタルクリニック 森澤 巌
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