特に薬剤に抵抗性(あるいは副作用等の事情により抗うつ薬の十分な使用が困難な場合等)のうつ病に対して磁気刺激療法がすすめられることがあります。
今回は、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激療法)によって脳内の神経接続にどのような変化が起こっているのか調べた研究をご紹介します。
rTMSに反応した神経形成の、うつ病の治療効果に関する予測的価値
治療抵抗性のうつ病患者38人(26人が女性、平均41.87歳)が対象となりました。
rTMSを右背外側前頭前野(低頻度1Hz)で行った時の神経接続の変化(機能的MRIで測定)と、その後のうつ病評価(MADRS)との関連を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①rTMS実施後には、広範囲で脳の神経接続変化が生じており、接続の変化はうつ病評価における改善の30%を予測していました。
②特に前頭前皮質、運動野、頭頂葉、島皮質と両側視床の接続変化との関連が大きくなっていました。
つまり、“rTMSを行った時に現れる画像検査上の神経接続の変化で、その後の症状改善の一部を予測することが可能かもしれない”と言えそうです。
rTMSを行った場合に効果を認めるかどうかには個人差があり、性別や使用薬剤の用量・種類等の要素が指摘されていますが、このような客観的指標があると予測として価値が高いと思われました。
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