以前から、うつ病に対するTMS(経頭蓋磁気刺激療法)の効果が指摘されています。
また、抗生剤であるDサイクロセリンには神経細胞の受容体であるNMDA受容体を刺激する作用が知られています。
今回は、TMSとDサイクロセリンを組み合わせると、TMS単独(研究では偽薬を使用)に比較して高い効果を認めるのではないかという仮説を検証した研究をご紹介します。
Efficacy of Adjunctive D-Cycloserine to Intermittent Theta-Burst Stimulation for Major Depressive Disorder
A Randomized Clinical Trial
うつ病に対するシータバースト刺激にDサイクロセリンを追加した療法の有効性
うつ病に罹患した50人(平均40.8歳)が対象となりました。
TMS(今回はシータバーストと呼ばれる方法)にDサイクロセリンを追加するグループと、偽薬を追加するグループに分けて、うつ症状の改善を比較しました。
結果として、以下のことが分かりました。
・Dサイクロセリンのグループのほうがうつ症状の改善が大きくなっていました(MADRASといううつ症状の尺度で、6.15点の差)。
・症状が大きく改善した割合(反応率)は、Dサイクロセリンのグループでは73.9%、偽薬のグループでは29.3%となっていました。寛解率は同様に39.1%と4.2%となっていました。
要約:『TMS(経頭蓋磁気刺激療法)にDサイクロセリンを加えるとそうでない場合よりもうつ症状の改善が大きくなるかもしれない』
磁気刺激に抗生剤の神経伝達物質受容体に対する効果を追加した治療方法で、今後が期待される内容でした。
もりさわメンタルクリニック:https://www.morisawa-mental-clinic.com/
rTMS治療:
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