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うつ症状は認知症の前兆?

気分が落ち込んでいるときには以前ならできていたことができなくなるものです。それで「自分はだめになってしまった」という絶望を感じる方も多くいらっしゃいます。もともと仕事や家事・学業ができていて、うつになってからの落差が大きい方ほど、このショックは大きいようです。

最近、Neurologyという医学雑誌で“ greater depressive symptoms were associated with worse episodic memory, smaller cerebral volume, and silent infarcts (強いうつ症状は記憶や脳の萎縮、無症状の梗塞と関連する)”という論文が発表されました。

この結論の受け止め方には大きく2通りあるように思われます。

①うつ症状は独立した認知症の危険因子(影響を与える要因)であるから、うつ症状を治療することで、後の認知症発症を抑制する可能性がある。

②以前から指摘されているように軽度の認知症はうつ症状を主な症状とすることがある。今回の結論は認知症の背景である小さな梗塞(血管の詰まり)から導かれる。

 

なんか、難しい言い方になってしまいましたが、要するに①だと

「うつが出た時にしっかり治療すれば、認知症の予防になるなら、うつを早く発見して、早く治療しよう!」

となりますが、②だと

「認知症の本格的な症状の前に“うつ”が出ることなんて前から分かってるよ。うつ症状そのものに注目するよりは、しっかりと経過をみて、認知症の症状を見逃さないようにしよう!」

と、その後に採用される方針が大きく変わるように思われます。

 

論文でも、①である可能性もあるけれども、仕組みとして想定されるのはうつ症状と認知症の共通の原因である小梗塞(小さな血管の詰まり)であると述べており、現時点で大きく方針の転換を提言するものではなさそうです。

 

しかし、どちらにしても一定の年齢以上で、うつ症状で苦しまれている方が来られたら、まず、“うつ”としてしっかりと対応し症状の軽減を図ること。さらに、認知症に移行する可能性を踏まえ、見通しをもって診療にあたる必要があるということだと思います。

診療ではいくつかの可能性を思い浮かべながら、一つの仮定に基づいて治療をすすめていかざるを得ないことがたくさんあります。やはり対処の第一目標は目の前の患者さんを楽にすることなので、今出現している主な症状を軽くする方法を考えることに一番力を注ぐことが大切だと思います。その中でも、次に起こってくることの可能性に思いを馳せながら診療をすすめることが必要だということでしょう。

 

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