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“水中毒(water intoxication)”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

ステッドマン医学大辞典によると

「水を体内に入れすぎたために生じる代謝性の脳障害」

となっております。

 

検査値の異常として血液中のナトリウム低下が出現し、症状として疲労感・吐き気(嘔吐)・頭痛から始まって、性格変化等の精神症状、重度になった場合には歩行障害、意識障害(昏睡)やけいれんを認めます。

 

水やジュース(スポーツ飲料も含む)の過剰摂取が原因で起こることが多く、(あって欲しくないことではありますが)精神科の病院では比較的ありふれた病態です。

 

統合失調症の患者さんや自閉症性の特性を伴っている知的障害の方に多い傾向があります。

 

自閉症特性の一つとして知られる常同行動や精神病性の病態が進行した時の認知障害(抑制低下)が引き起こすこともありますが、多くの場合、

 

抗精神病薬の服用⇒ 抗コリン作用(口渇という副作用) ⇒ 水の多飲 ⇒ 元の精神疾患も関与しての飲水行動の慢性化

 

というしくみによって理解されています。

 

なぜ、敢えてこの時期に「水中毒」について書かさせて頂いているかというと、夏期には水分バランスの崩れによって起る病気の一つとして、脱水・熱中症とともに注意すべき状態であると思うからです。

 

今の時期、脱水・熱中症の予防目的で、水分摂取の必要性が強調されますが、時々“行き過ぎ”の場合が見られます。そして、すでに気分不良や歩行障害などの“水中毒”由来の症状が出現している場合が少なくありません。

 

飲水量の基準として1.5L程度が勧められていますが、これは年齢や時期によって変動します。汗や不感蒸泄による水分喪失が増加する夏期には2L程度までの飲水増量は許容範囲と思われますが、上記のような精神疾患が基礎にある方では3L以上、中には5~6Lにまで増えてしまう人がいます。

 

歩行障害を引き起こす神経系や筋肉・骨格の病気がないのに、あまりにも何度も転ぶので詳しく確認してみると毎日、6L程度のジュースを飲んでいたという場合もあります。

 

最近、訪問診療を行っていると、統合失調症や知的障害をともなっている方たちだけではなく、認知症でも同様の病態が散見されます。

 

基本的には今の時期、水分摂取を励行して頂くのが一番だとは思うのですが、余りにも自ら水分を要求される場合には「ん? ちょっと待てよ」と“水中毒”についての話を思い出して頂けたらと思います。

 

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