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「『やりがいのある仕事』という幻想」 森博嗣著

 

この手の本をたくさん読んでいること自体が生き方に迷っている証拠かもしれません。

 

でも、こういうテーマの本を一定量は摂取しなければならない必須栄養素のように求めてしまいます。

 

森博嗣さんは『すべてがFになる』などを書いたミステリ作家として有名ですが、エッセイについても定評があります。

 

最近、多くの「がんばらなくても良い」というメッセージを持った本が出ています。私も好きで良く読みます。でも、この本は、それらの本の傾向とはちょっと違って、突き放した印象を与えるかもしれません。

 

読んでいて「そんなに理屈っぽく言わなくてもいいのに……」と思うこともしばしばですが、それが良いんです。その理屈っぽさが、なんとなく優しいように感じます。べたべたした感じではなく、涼しげな配慮のようなものを感じます。

 

様々な本を読んでいて、どうしても自殺に関連したテーマで書かれた部分には注意が向いてしまいます。それは自分の中でも、「自殺はいけないことか?」、「いけないとしたら、どうして自殺してはいけないか?」についての確たる答えがないせいだと思うのですが、この本では「死にたくなったことのある人へ」という章で以下のように書かれています。

 

「たとえば、自殺しようと悩んでいる人に対しても、僕は助言ができない。僕は自殺をしたことがないから、それがどんなものなのか知らない。(中略)ただ、感覚的に、自分の知っている人が自殺をすると、僕は嫌な気持ちになる。自分の知らない人だったら、それほどでもないが、近しい人がいなくなると、僕は残念に思う。だから、もし、そういう人が相談にきたら、『僕は嫌だ』というしかない。」

 

私はこの人の文章から感覚と論理への従順さを感じます。

 

内容で納得させるのではなく、嘘のない姿勢で向き合うことで、少なくとも同じ地点に立っていることを示す……せめて、そういうことができたらと思います。

 

 

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