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鈍感な世界に生きる敏感な人たち イルセ・サン著

 

まず、帯の文句を抜粋させてください。

 

「なぜこんなに音・におい・相手の表情が“気になってしかたがない”のか?」

 

上記のような疑問に直面されている人は多いのではないでしょうか?

そういう場合のすべてに該当するわけではないかもしれませんが、生き方のヒントになる考え方の一つに“HSP:Highly Sensitive Person(とても敏感な人)”というものがあります。

 

本書は牧師・心理療法家である著者が、自身もHSPであることを生かし、共感をもってHSPの生き方のヒントを示した本です。

 

本書の冒頭のところでは、HSPを以下のように説明しています。

「世の中のおよそ5人に1人がHSP( Highly Sensitive Person:とても敏感な人)だといわれてい ます。HSPは、決して病気ではありません。HSPという概念は、アメリカの精神分析医で学者のエレイン・アーロンによって、1996年に提唱されたもので、人を男性と女性というように性別で2つに分けるように、とても敏感なタイプ(HSP)と、 タフなタイプの2つに分けただけのことです。」

 

そして、HSPに関する脳の機能的な知見として、ミラー・ニューロン・システムを含む、共感を司る脳の領域が、ほかの被験者よりも活発であることが紹介されています。

 

目次に示されているHSPの能力と心の問題としてつぎのようなものがあります。

HSPの能力

①一度に多くの情報を吸収できる

②音やにおいなどの微細な違いも察知できる

③ゆっくり、深く多角的に考えられる

④とても慎重で、危機管理能力が高い

⑤共感力が高く、気配り上手

⑥誠実で、責任感がある

⑦想像力が豊かで、内的生活が充実している

 

HSPが抱えやすい心の問題

①自分自身に高度な要求をしてしまう

②罪悪感と羞恥心に苛まれてしまう

③恐怖心を感じ、憂鬱になりやすい

④怒りをうまく表出できない

 

まずは以上のようにHSPが「とても敏感」であることから生じる長所と短所を分かりやすく説明しています。

 

そして後半では、「鈍感な人たち」とうまく付き合う方法と、「敏感な自分」とうまく付き合う方法について、著者自身の体験や相談者の方の実際のセリフを交えて、様々な視点から語っています。

・休憩や散会の時間を事前に約束しておく

・言葉の洪水に溺れてしまわないように会話中に休憩をとる

・時と場合に応じて「深い会話」と「表面的な会話」を心がける

・子育ては無理をしない

・五感から過度に刺激を受けないための対策をとる

・過度な刺激を受けたら、じっと自分の内面に集中する

・自分らしくいることの喜びを感じる

 

以上はそれらの方法のうちのごく一部ですが、内容は具体的で体験に即したものになっています。それぞれのアイデアは実行可能と感じるものもあれば、やりにくいと感じるものもあるかもしれませんが、いずれも選択肢の提案として示してあり、自分に合う考え方や方法を選んで採用できるように配慮されているように思います。

 

そして、最も大切なことは上記の中でも最後に示した「自分らしくいることの喜びを感じる」ということであると感じます。HSPの素因が多い方では、自己否定の傾向があり、自分を肯定的にとらえることが難しくなっているように思います。

 

どのように考え「自分と和解」するか、HSPのセルフ・ケアや支援のカギはその点にあるような気がします。

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