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統合失調症の認知機能低下と抗精神病薬

執筆者の写真: もりさわメンタルクリニックもりさわメンタルクリニック

◎要約:『抗精神病薬の間で、認知機能への影響について明らかな差異はなく、偽薬と比較して認知機能を改善するという証拠もない』





今回は、統合失調症の治療等に用いられる抗精神病薬と使用による認知機能の変化について調べた研究(メタ・アナリシス)をご紹介します。


抗精神病薬と認知機能

Antipsychotic Drugs and Cognitive Function

A Systematic Review and Pairwise Network Meta-Analysis


統合失調における認知機能と抗精神病薬の使用との関連を調べたランダム化比較試験の論文68本(9,525の参加者、平均35.1歳、男性70%)が対象となりました。


結果として、以下の内容が示されました。


・抗精神病薬の間で、明らかな認知機能に関する変化の差異はありませんでした。


・ハロペリドール、フルフェナジン等の定型抗精神病薬(第1世代抗精神病薬)やクロザピンでは比較的認知機能の低下を認める傾向がありました。


・偽薬との比較で抗精神病薬全体として検討した時に、明らかな認知機能への改善効果はありませんでした。




抗精神病薬は主として陽性症状に対する効果(幻覚・妄想に対する効果)を発揮し、陰性症状(無為自閉・感情鈍麻など)に対する効果は限定的であることをしばしば経験します。


今後、統合失調症の治療経過の中で、日常生活の支障の大きな原因となる認知機能低下についても検討していく必要性を感じる内容でした。

 
 
 

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