Kindle版のみの日記エッセイです。
著者がうつ病になってから一番「ディープ」だった時期を日記や詩の形式で綴っています。
つらい時に聞く暗い音楽のように、ゆっくりといっしょに悩んでくれるエッセイだと思います。
うつの始まりにふれた冒頭の部分を抜粋します。
「忘れもしない二〇〇八年九月十七日、
教員になって二十二年、新設校に移動して二年、
夏休みが明けて二週間と少し、
がんばってがんばって、がんばった末に力尽き、
わたしは仕事に行けなくなりました。
それはもう、予想だにしなかった大事件でした。」
日記なので、一日ずつの区切りがあり、一度にたくさん読まなくても良い安心感があります。
また、著者も書かれていますが、散文でも詩のように改行されており、疲れているときには読みやすい感じがします。
全体の雰囲気について、著者が説明しているところがあります。
「……一見ユーモラスな文章に見えても、そこに痛々しさが漂っていたりするかもしれません。でも、だからこそ、同じような苦しみを感じている人に、何か共感していただけるんじゃないかと思っております」
苦しい自分、悩んでいる自分を少しでも肯定できるよう、一歩ずつ歩んでいる姿に共感しながら読むことができました。
かなりしんどいときに少しずつ読むのがおすすめです。