他の鎮痛薬では治まらない激しい痛みに医療用の麻薬が使用されます。
便秘・吐気・呼吸抑制・眠気等が生じることがあり、痛みは治まってもこれらの副作用で苦しむ場合があり得ます。
今回は、通常は副作用と考えられる眠気に注目し、痛みのコントロールに大麻を使っている場合の睡眠状態について調べた研究をご紹介します。
慢性疼痛のある患者における不眠と医療用大麻の効果
慢性疼痛のある128人(50歳以上)が調査の対象となりました。このうち66人が大麻を使用しており、62人が使用していませんでした。
以上の2つのグループについて、睡眠状態の経過を観察しました。また、用量・期間・使用頻度等についての比較を行いました。
結果として、まず大麻を使用しているグループの方が、中途覚醒の頻度が少ない傾向を認めました(入眠に関する違いはありませんでした)。
一方、使用頻度が多くなると、今度は逆に中途覚醒が多くなり、入眠にも困難を来すようになっていました。
つまり、大麻は睡眠状態の改善にも有効ですが、使用回数を多くするとかえって悪化を招くという結果になりました。
麻薬には耐性形成(同じ用量では効果が徐々に少なくなること)があり、使用頻度を一定に保つことは困難であることも多く、少なくとも睡眠改善の目的で使用するのは得策でないように思われました。
#睡眠障害
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