◎要約:『精神病性疾患では、初発と再発時で妄想のテーマは一貫していることが多い』
今回は、統合失調症などの精神病性疾患における妄想のテーマが、初回の発症と再発時で、一貫しているのかを調べた研究をご紹介します。
初発と再発の精神病エピソードにおける妄想テーマの継続性
Consistency of Delusion Themes Across First and Subsequent Episodes of Psychosis
カナダのケベック州における研究で、初発の精神病性疾患(以下では、精神病と表記)の患者636人(平均23.8歳、191人が女性)が対象となりました。
初発から2年間の経過を観察し、寛解・再発等の経過と妄想テーマの一貫性について調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・591人が妄想を有し、558人(94.4%)は寛解に達し、再発は182人(32.6%)にとどまっていました。
・再発した場合の63.2%が妄想を有し、そのうち90.4%が初発の時と同じテーマの妄想でした。
・再発時には初発時よりも妄想のテーマは少なく、その他の症状の重症度は低くなっていました。
人によって気になるテーマは異なりますが、ずっと心配事(妄想)の内容は継続することが多いという臨床的な実感と一致する結果となっていました。
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