以前から、拒食症(神経性食思不振症)では脳の体積減少(脳萎縮)が生じることが指摘されてきました。
今回は、拒食症(神経性食思不振症)で認める脳の体積減少について、再び体重が戻った場合も含めて検討した研究をご紹介します。
神経性食思不振症において低体重と体重の回復があった場合の脳構造
世界22施設における神経性食思不振症の女性患者685人と健常者693人が対象となりました。
さらに、体重回復がみられた時の影響を調べるため、低体重の神経性食思不振症患者466人、一部体重の回復を認めた場合251人について、脳構造への影響を検討しました。
結果として、以下の内容が示されました。
①神経性食思不振症全体において、脳皮質・皮質下・表面積の減少は明らかでした。
②低体重のままと、一部体重の回復を認めた場合を比較したところ、体重回復があった場合には脳の構造変化は弱められていました。
つまり、“拒食症(神経性食思不振症)では脳の体積減少等、構造変化が起こることが多いが、体重の回復がみられた場合ではその影響が小さくなる可能性がある”と言えそうです。
今まで指摘されてきたように、神経性食思不振症の治療においては、脳の構造変化による認知機能低下等に留意するとともに、早期回復による影響軽減に努めるべきであると思われました。
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