◎要約:『自閉スペクトラム症がある場合には(特に知的障害のない場合)にうつ病のリスクが高くなり、家族内で共有する要素のみでは説明できないかもしれない』
自閉スペクトラム症には2次障害(あるいは併存障害)として、うつ病等の気分障害が合併する場合があります。
今回は、自閉スペクトラム症の若年成人におけるうつ病の有病率を、(知的障害の有無による違いも含めて)調べた研究をご紹介します。
自閉スペクトラム症とうつ病(知的障害の有無による違い)
Association Between Autism Spectrum Disorders With or Without Intellectual Disability and Depression in Young Adulthood
スウェーデンにおける研究で、223 842人を27歳まで追跡して、自閉スペクトラム症、知的障害、うつ病について調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
・自閉スペクトラム症がある場合の、うつ病の有病率は19.8%で、一般人口の有病率6.0%よりも高くなっていました(リスク比:3.64倍)。
・自閉スペクトラム症がある場合でも、知的障害がない場合の方がうつ病のリスクが高くなっていました(知的障害あり:1.81倍、知的障害なし:4.28倍)。
・兄弟間での比較では、自閉スペクトラム症がある場合は、ない場合に比較して2倍以上うつ病のリスクが高くなっていました。
知的障害のない自閉スペクトラム症の場合に、遺伝傾向や家庭環境によらず、うつ病の発症が比較的多くなる可能性が示されていました。
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