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新しい病気の分類(ICD-11)が出ました。


2018年6月18日に、作成に10年以上の歳月をかけた新しい病気の分類であるICD₋11(国際疾病分類第11回改訂版)が公表されました。

今後、2019年5月に世界保健総会に提出され、各国の運用のための準備期間を経た後、2022年1月1日から施行される予定です。

これにより、今後、世界中の様々な場面で病気の名前の基準が変わることになるので、生活上、特に届出や制度を利用する時などにその影響を実感することになります。

今回は特に精神医療に関連する内容として、今回新たに加わった病名である“Gaming Disorder”(ゲーム障害)について紹介します。

ゲーム障害(仮名)は、日本では「ゲーム依存症」といった方が通りが良いかもしれません。

今回のICD-11ではaddictive disorders(依存性障害)の一つとして追加されました。この病名が一つの疾患単位として取り上げられるほど、ゲームへの耽溺や日常生活への影響は全世界的に大きいのだと思います。

ゲーム障害は、ゲームをがまんするコントロール能力の障害によって特徴づけられます。ゲームをすることの優先順位が非常に高くなるので、他の様々な活動(例えば、睡眠、食事、学業、仕事など)が後回しになり、結果的に日常生活が破たんするまでに至ります。

ゲームをする全ての人がゲーム障害になるわけではありませんが、余暇の過ごし方として定着している習慣性の高い行為であり、誰でもなり得る病気として考える必要があります。そして、生活への影響が大きくなったときには、助けが得られるよう、診断に関する認知と治療法の確立が望まれます。

病気の分類が変わることには、新しい研究の成果や考え方を取り入れて、分類を現実社会に即した実用性の高いものにする意味がありますが、それだけでなく、“ゲーム障害”のようにその危険性の認知を深めるきっかけになるような、新しい病名の採用もあります。

今回の改定を、単なる病名の変化ではなく、新しい診断や治療が必要であることの知らせとして受け取りたいと思いました。

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