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脂質の摂取が不安を軽減する


不飽和脂肪酸という魚類に多く含まれる脂質の、精神症状に対する効果について多くの研究が行われてきました。

日本で行われた大きな規模の研究ではうつや自殺に対する効果がはっきりと確認できなかったのですが、海外のものまで含めるとうつやADHDの症状を軽減することが示されています。

今回はパーソナリティ障害や強迫性障害を含めて、広い範囲の疾患で不安に焦点をあて、その効果をみたシステマティック・レビュー(様々な論文のまとめを行った内容)の論文です。

ω-3多価不飽和脂肪酸と不安症状との関連

(システマティック・レビューとメタアナリシスでの評価)

2240人の参加者を含む19の臨床試験を検討した結果、脂肪酸摂取を行った群とそうでない群とで、脂肪酸を摂取した方が大きく不安が軽減していました(Hedges gという効果量の算出で検討。数値的な詳細は省略)。さらに、脂肪酸を摂取した群の中での検討では、1日に2000mg以上摂取している方が、より不安軽減の幅が大きくなっていました。

現在、不安に対する薬物療法としてベンゾジアゼピン系の抗不安薬がよく使用されますが、依存が問題になっています。特に薬物療法の効果が認められない不安に対する選択肢として、現在EPAなどの不飽和脂肪酸が注目を集めています。

論文中で述べられている通り、不飽和脂肪酸が不安治療の優先される選択肢となるためには、まだ良くデザインされた大規模の試験が必要と思われます。しかし、今の時点でもリスクの少ない栄養摂取から不安症状の軽減を図る視点は持っておいた方が良いと思いました。

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