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「発達障害」の検査、視線の動きについて


いわゆる「発達障害」を診断するとき、“社会性の障害”などをコアの特性として、特異性が高いゴールデン・スタンダードの所見としますが、実際にテストなどで客観的に確認しにくいという事情があります。

多くの観察時間を割けない一般的な相談機関では、養育者の記憶や本人の得意・不得意等に関する問診結果に信頼を置き、いくつかのスケーリング(数値化)の結果を照合することで、客観性の担保を得ようと努力する場合が多いように思われますが、標準化された知能検査等に比較すると、信頼性が劣ることは否定できません。ここには、正確な検査 vs 簡便(迅速・安価)な検査の双方を求めるジレンマが常に存在します。

また、上記のような検査に関する葛藤以前に、統合失調症のプレコックス感のように、発達障害に関する“勘のようなもの”が働くことがあります。これは、診断に関する先入観として働く可能性があり、慎まなければならない印象重視の感覚であるとは思いますが、実際に客観的な検査をすすめていくと、多くの例でパズルのピースが合うように予想した通りの所見が得られるのも事実です。

この“勘のようなもの”を支える視覚的な要素の一つに、ご本人の「視線の動き」があります。

最初、お会いした時にこの点で“ん?”と思うと、知能検査をすすめたときに数値としては現れなくても(特に年代が上であるほど代償的な技術が成立しています)、問題解決の方法に定型発達の場合とは明らかに異なった「注目点の違い」や、同じ解決に至るにしても「道筋の違い」が現れることが多く認められます。

明日は、診断上の工夫の一部として“視線の動き”に注目した研究について説明させてください。

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