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PTSDの症状と感情の変化

◎要約:『心的外傷のある個人の中で比較したとき、PTSD症状(特に麻痺症状)が強いと刺激に反応する感情の変化速度は大きい』






PTSD(心的外傷後ストレス障害)においては、生命や安全を脅かされるような著しく驚異的な体験(心的外傷体験)を契機として、フラッシュバックなどの「再体験症状」、外傷を想起させる場所など回避する「回避症状」、興味や関心が乏しく、物事が楽しめなくなる「麻痺症状」、不眠、イライラ感、集中困難が生じる「覚醒亢進症状」が出現します。


今回は、PTSDの症状と感情の変動性について調べた研究をご紹介します。


Emotional State Transitions in Trauma-Exposed Individuals With and Without Posttraumatic Stress Disorder

心的外傷に暴露された個人のPTSD症状の有無による感情の変化


心的外傷に暴露された経験のある1,440人が研究の対象となりました。


そのうち、445人は症状から考えてPTSDと推定される人々(平均36.1歳)でした。


画像に対する反応(中立~高度ネガティブ)を調べて、感情の変動性を調べました。


結果として、以下のような内容が示されました。


・PTSD症状がある場合には、感情の変動が急激でした。同様に心的外傷に暴露された経験のある個人でも、PTSD症状が(診断を満たすほどには)多くない場合には、気分の変化速度は小さくなっていました。


・上記のようなPTSD症状の中でも、感情の変化速度と最も大きく関係していたのは「麻痺症状 emotional numbing」でした。



感情の麻痺が起こっているのに、感情の変化速度が大きくなる点が分かりづらいのですが、(論文中の議論でも触れられているように)症状としての感情抑制が大きいと、刺激に対してはむしろ敏感になるという側面があるのかもしれません。

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