物を捨てられず溜め込んでしまう結果、日常生活に支障を来す障害を“ため込み症”と言いますが、かつては強迫性障害と共通の部分が大きいと考えられていました(今でも共通点は認められています)。
現在では、その独自の特徴が以前よりも認められるようになっており、「強迫症及び関連症群」の中ではありますが、「ため込み症(F42.3)」という独立の疾患として扱われています。
今回は、ため込み症の性質を理解するために、様々な合併症について調べた研究をご紹介します。
Comorbidity in Hoarding Disorder
ため込み症の合併症
ため込み症の診断基準を満たす217人と、ため込み症のない強迫性障害の罹患者96人が対象となりました。
結果として、以下の内容が示されました。
・うつ病、獲得衝動の制御困難を特徴とする障害(強迫的買い物、盗癖、無料物品の獲得)の合併が多く認められ、合併はため込み症の方が多くなっていました。
・ため込み症のうち、強迫性障害の診断を満たしたのは20%未満でした(強迫性障害のため込み症合併は男性のほうが女性よりも多くなっていました)。
・全般性不安障害はため込み症で多く、社交不安障害はため込み症の男性で、強迫性障害の男性よりも多くなっていました。
・ため込み症の28%で不注意優位のADHDを認めました(強迫性障害では3%)。
要約:『ため込み症のうち、強迫性障害を合併するのは2割未満で、合併する疾患でも両者で様々な相違がある』
ため込み症が、ADHDとの親和性等、独自の特徴を持っている疾患であることを示す内容となっていました。
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