しばしば喘息やアトピー性皮膚炎・花粉症等のアレルギー性疾患と精神疾患との合併を認めます。
今回は、アレルギー性疾患と精神疾患について、併存する割合や因果関係の有無について調べた研究をご紹介します。
アレルギー性疾患と精神疾患の因果関係について
イギリスの遺伝情報を含んだ大規模な調査データ(UK Biobank)を用いた研究です。
アレルギー性疾患と精神疾患がどのくらい同時に出現しやすいか(関連)を調べるとともに、メンデルランダム化という手法で、遺伝的要素に関してランダム化を行いアレルギー性疾患が精神疾患の原因になったり、その逆の関係はないか(因果関係)調べました。
結果として、以下のような内容が示されました。
①アレルギー性疾患がある場合、精神疾患の出現率は、うつ病で1.45倍、不安で1.25倍、躁うつ病で1.29倍となっていました。
②メンデルランダム化を用いたところ、アレルギー性疾患と精神疾患の関連性ははっきりしなくなり、因果関係の指摘はできませんでした。
つまり、“アレルギー性疾患と精神疾患は併存する割合は高いが、特に双方の因果関係があるわけではない”と言えそうです。
アレルギー性疾患と精神疾患の間には、共有する別の因子があるのかもしれません。
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