サイコパスについて、他者に対する共感性の低さが指摘されてきました。
また、他者の立場で考えることのできる能力について、“心の理論 theory of mind (ToM)”という言葉を使用することがあります。
今回は、サイコパスの傾向が強い人を対象に、“心の理論”について調べた研究をご紹介します。
サイコパスは他者の視点を自動的にとることが難しい
触法行為のため服役中の受刑者(18~75歳)で、言語理解に影響する精神疾患や服薬のない116人が対象となりました。
コンピューター画面にアバターとドット(目印の点)が出現し、被験者とアバターから見えるドットの数が、角度等の条件によって異なるように設定されました。
本人が他者の視点を意識するように尋ねた時に“意図的他者視点”と考え、意識させずに他者の視点を尋ねた時には“自発的他者視点”と考えました。
結果として、サイコパスの病理性が高い場合には“意図的他者視点”はできても、“自発的他者視点”がとり難くなっており、この傾向は暴行での検挙回数等、触法行為の多さと関連していました。
つまり、“サイコパスでは他者の視点を意図的にとることは可能だが、自然に相手の立場を考えるような傾向に欠けている可能性がある”と言えそうです。
サイコパスについて、共感する能力がないというよりは、認知の傾向であるように考えられました。
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