◎要約:『介護施設における動物の存在は、孤独や不安・うつ等に有益かも知れないが、証拠としては不十分である』
動物と共に過ごすことは、うつや不安等、様々な精神症状に対する軽減の効果があると指摘されてきました。
今回は介護施設において、動物と過ごすことにはどのような効果があるのか、質的研究も含めて検討した内容をご紹介します。
What are the effects of animals on the health and wellbeing of residents in care homes? A systematic review of the qualitative and quantitative evidence
動物が与える健康・福祉への効果
質的研究20本と量的研究20本の合わせて40本の論文(34の研究)が分析に含まれました。
結果として、以下の内容が示されました。
・質的研究からは利用者の福祉に関して、「生き物としての存在、回想/語りのきっかけ、愛情を持ってケアすること、孤独や施設症等からの救済、様々なことを感じる機会を提供すること」のテーマが見出されました。
・施設の職員や動物たちにとっても福祉的意味が見出されました。
・アイデンティティ(個性、独自性)の維持が、全体的なテーマとして共通していました。
・量的な研究で、小規模のランダム化試験を行った場合には、明らかに有益な効果は認められませんでしたが、孤独や不安、抑うつに対して(限定的ですが)支持的効果がありました。
動物の飼育を導入するには多くの費用や労力の負担が予想されるので、今後さらに有益性が証明されることが期待される内容でした。
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