
女性に対する低用量の男性ホルモン投与には、気分の落ち込みや疲労軽減等の効果があるとされてきました。
今回は、薬物の効果の乏しい女性のうつ病に対して、低用量の男性ホルモン塗布剤を用いた時の効果を調べた研究をご紹介します。
抗うつ薬抵抗性の女性うつ病に対する低用量男性ホルモンの効果
薬物抵抗性のうつ病に罹患した女性101人(21~70歳)が研究の対象となりました。
これらの対象者を、男性ホルモンクリームを用いるグループと偽薬のグループに分けて、うつ症状の改善や脳の活動性について調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①うつ症状や疲労感、性機能に関して、2つのグループで明らかな違いは認めませんでした。
②気分の調整に関係すると言われる脳部位(前帯状皮質)活動性にも違いを認めませんでした。
つまり、今回の対象集団においては、男性ホルモンの効果は主観的な症状変化においても、脳の活動性においても確認できませんでした。
年齢やうつの重症度など対象となる集団を限定する等の工夫で、効果が明らかとなる可能性があるかもしれませんが、少なくとも今回のような一定の重症度以上のうつに対しては、女性に対する男性ホルモンの効果は薄いようです。
#うつ病
Comments