自分の毛を継続的に抜いてしまい、美容や社会生活の観点から支障が生じる疾患を“抜毛症”と呼び、以前から強迫性障害との共通点が指摘されてきました。
今回は、非常に以前の論文(1992年)になりますが抜毛症について、強迫性障害に対して海外で使用される抗うつ薬(フルオキセチン)の効果を調べた研究をご紹介します。
Fluoxetine for trichotillomania: an open clinical trial
抜毛症に対するフルオキセチンの効果
抜毛症に長期間罹患している17人(13人がフルオキセチン80mg/日まで使用する臨床試験を完遂)が研究の対象となりました。
いずれの患者も強迫性障害またはうつ病の合併はありませんでした。
結果として、以下の内容が示されました。
・強迫性障害で頻用される尺度(YBOCS)でみると、臨床試験を終えた13人については明らかに強迫症状が軽減していました(最初10.15→試験終了時5.92)。
・臨床試験を終えた13人のうち、症状の軽減の程度をみると25%以上50%未満: 4人、50%以上100%未満: 5人でした。
・試験を終わりまで行わなかった人も含めて、抜毛を全くしなくなったのは 3人でした。
要約:『抜毛症に対して抗うつ薬(フルオキセチン)は有効である可能性がある』
抜毛症に明らかな強迫性障害合併がない場合にも、抗うつ薬の処方を検討して良いのではないかと思える内容でした。
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