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治療抵抗性うつに対する深部電気刺激の効果


薬剤の効きにくいうつに対して、TMSやECT等の脳刺激による治療法が選択されることがあります。


今回は、一つの症例についてですが、通常の方法による電気刺激も効果のなかった重度のうつに対して、神経活動を調べた上で深部の電気刺激を行う装置を用いた報告についてご紹介します。


治療抵抗性うつの症例に対する閉鎖回路神経制御の効果


症例は36歳の女性で、長く続く重度で治療抵抗性のうつによって苦しんでいました。複数剤の抗うつ薬の組み合わせや電気刺激(ECT)を行っても効果を認めませんでした。


彼女のうつ症状と脳内の電気的活動の関連を調べ、症状が悪化する際には扁桃体における電気的活動が生じていることが分かりました。


また、右腹側線条体と呼ばれる脳の部位が、気分の継続的な改善を行うために有効であることが示されました。


以上の知見を元にして、彼女の脳内にうつ症状をもたらす扁桃体の電気的活動を感知したら、腹側線条体に対して症状改善のための刺激を行う装置を埋め込みました。


結果として、刺激開始から12週間でうつ病尺度は大きく(MADRASという尺度で33点から14点へ)改善し、数ヶ月で寛解状態に至りました。


今回は、一例での報告で、すぐに多くの人に適応可能な方法ではないと思われますが、うつの原因となる電気的活動を同定し、具体的な標的を絞った上で直接的な刺激を行う点で、非常に画期的な治療法であると考えられました。

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