◎要約:「ロイコトリエン、ハプトグロビン、CRP等いくつかの炎症尺度が、精神疾患のなり易さと関連し、特にロイコトリエンの上昇はうつ病との関連が考えられる』
今回は、大規模なデータを用いて、血液で測定する様々な炎症の指標(バイオマーカー)とうつ病などの精神疾患が関連しているかを調べた研究をご紹介します。
Inflammatory Biomarkers and Risk of Psychiatric Disorders
最初に分析の対象になったのはスウェーデンの集団で精神疾患のない585,279人、検証のために用いられたのはイギリスの大規模な生体データUK Biobankから485,620人が対象となりました。
ロイコトリエン、ハプトグロビン、CRP、IgG等の炎症があった時に(陽性となる時期などにそれぞれ特徴がありますが)上昇する、生物学的尺度(バイオマーカー)について調べ、うつ病や不安障害等の精神疾患との関連を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・ロイコトリエン、ハプトグロビン、CRPが高かった場合には、通常よりも精神疾患にかかるリスクが高くなる傾向がありました(例:ロイコトリエンについてハザード比1.11倍)。
・逆にIgGが高い場合には、通常よりも精神疾患にかかるリスクが低くなる傾向がありました(ハザード比0.92倍)。
・上記の傾向をうつ病、不安障害、ストレス関連障害についてUK Biobankのデータで検証したところ、同様の結果が得られました。
・メンデルランダム化と言われる手法を行って、因果関係の推測を行ったところ、ロイコトリエンの高値がうつ病の背景となり得ると考えられました。
精神疾患のリスクについて、炎症の指標が何らかの参考になる可能性が感じられる内容でした。
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