最近、2回にわたって睡眠薬服用と認知症(認知能力低下)とは関係がないか、ほとんど関連性を認めないという内容の研究をご紹介しました。
今回は、かなり遡るかたちになります(2012)が、睡眠薬の服用と認知症は関連があるという有力な研究について説明させてください。
ベンゾジアゼピンの使用と認知症リスク
研究のスタート当初はベンゾジアゼピンを服用していない非認知症の高齢者1,063人(平均78.2歳)が調査の対象となりました。
15年間の経過観察で、以下のようなことが分かりました。
①睡眠薬や抗不安薬(ベンゾジアゼピン類)の使用と認知症の発症とが関連していました。(使用者では32% vs 非使用者では23%)
②新しくベンゾジアゼピン類の使用を開始した場合のリスクは1.60倍になり、これはうつ症状の有無で変化がなかった。
一昨日の論文の紹介でうつ症状の影響を除くことが重要であるという説明をしましたが、この論文でも認知症の前駆症状としての影響を少なくするために、当初はベンゾジアゼピン類を服用していない対象者に限定したり、影響する因子を調整したりしています。
結果をどのように解釈するか難しいところですが、この研究からは、認知能力を中心に考えた場合には高齢者から新たにベンゾジアゼピン類を開始することはなるべく避けた方が良いということになりそうです。
#認知症 #睡眠薬
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