◎要約:『統合失調症の新薬であるKarXTは急性の精神病性症状にも有効で、今までに問題となっていた錐体外路症状や体重増加はないかもしれない』
以前からKarXTという名称で、新しいしくみを持つ統合失調症の薬剤が(特に副作用の少ない点で)注目されています。
今回は、急性の精神病性症状(幻覚や妄想)を体験している状態の患者に対して、効果と副作用を検証した研究をご紹介します。
Efficacy and Safety of Xanomeline-Trospium Chloride in Schizophrenia
A Randomized Clinical Trial
統合失調症に対するキサノメリンとトロスピウムの合剤の有効性と安全性
急性の精神病性症状を経験してる256人(平均43.1歳、74.6%男性)が対象となりました。
結果として、以下の内容が示されました。
・偽薬との比較で、精神病症状の尺度においてKarXTの方が症状の低下が大きくなっていました(KarXT: -20.6 vs 偽薬: -12.2)。
・副作用による中止は、偽薬と同レベルでした(KarXT: 8人 vs 偽薬: 7人)。
・最も多い副作用は吐き気で(KarXT: 24人 vs 偽薬: 2人)、他には消化不良、嘔吐、便秘がありましたが、筋硬直や小刻み方向などの錐体外路症状、体重増加はありませんでした。
ムスカリン受容体の作動薬という新しいしくみを持っていて、これまでとは方向の違う副作用が主になっていますが、身体的影響が比較的少ない薬剤であると思われました。
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