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複雑性悲嘆(遷延性悲嘆症)の有病率・治療

執筆者の写真: もりさわメンタルクリニックもりさわメンタルクリニック

◎要約:『複雑性悲嘆の診断についてはまだ議論があるが、治療は主として心理療法、一部で抗うつ薬も有効かもしれない』



家族などの大切な方を亡くした場合の反応を“悲嘆(grief)”と呼び、その文化圏において通常想定される期間よりも遷延し(通常、半年から1年以上とされることが多い)、生活に大きな影響を及ぼしている状態について“複雑性悲嘆”と呼ばれることがあります(DSM5‐TRでは遷延性悲嘆症)


今回は複雑性悲嘆について、過去の研究を振り返った記事をご紹介します。


Treating Complicated Grief

複雑性悲嘆の治療


1990~2012年に発表された複雑性悲嘆に関する研究をMDLINEを用いて検索しています。


結果として、以下の内容が示されました。


・2013年までのところ、用語としてDSM-5の“遷延性悲嘆障害 persistent complex bereavement disorder”が用いられているが、適切な用語や診断基準については議論がある状況である(現在のDSM5‐TRでは遷延性悲嘆症の名称となっています)。 


・信頼性の高い診断ツールが開発されており、推定有病率は7%である。


・ランダム化比較試験で悲嘆に焦点を絞った心理療法は有効であることが明らかとなっている。


・補助的な研究では抗うつ薬の有効性も示唆されている。




少なくも当初は正常な心理的反応と位置づけられており、どこからを治療と対象とするのか難しい疾病であると思われました。

 
 
 

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