高齢期に発症したうつ病で、抗うつ薬による治療効果が少なく、“治療抵抗性”と思われる例をしばしば経験します。
今回は、高齢期の治療抵抗性うつ病に対して、エスケタミン鼻腔スプレーの効果を調べた研究をご紹介します。
Efficacy and Safety of Esketamine Nasal Spray Plus an Oral Antidepressant in Elderly Patients With Treatment-Resistant Depression—TRANSFORM-3
高齢者の治療抵抗性うつ病に対するエスケタミン鼻腔スプレー(経口抗うつ薬に追加)の有効性と安全性
“治療抵抗性うつ病”と判断された65歳以上の高齢者138人が対象となりました。
通常の抗うつ薬による治療に追加して、エスケタミン鼻腔スプレーを追加するグループと、偽薬を追加するグループに分けて、有効性の比較を行いました。
結果として、以下の内容が示されました。
・65歳以上の全体では、両グループの違いは明らかではありませんでした。
・年代を65~74歳に限定すると、エスケタミンの方が症状の改善が大きくなっていました。
・発症時期を55歳未満に限定すると、エスケタミンの方が症状の改善が大きくなっていました。
要約:『高齢者の治療抵抗性うつ病に対するエスケタミン鼻腔スプレー効果は、高齢期の初期や比較的若い年代での発症に限定されているかもしれない』
治療抵抗性うつ病に対する効果が話題となっているエスケタミンですが、様々な条件の違いによって、有効性が異なるようです。
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