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呪文を唱えてPTSDを治す


「コーピングマントラ」という言葉をご存知でしょうか? 

例えばアンガーマネジメント(怒りの扱い方を学ぶ療法)ではイライラや怒りが生じた時に、事前に準備しておいた自分が落ち着く言葉・文句を唱えて、その場を乗り切るようすすめることがあります。その時の言葉・文句を「コーピングマントラ」と言います。

「大丈夫、大丈夫」、「きっとうまくいく」等といった肯定的な言葉や、自分の飼っているペットの名前など様々です。

マントラとは元々ヒンドゥー教や仏教の真理を表す言葉(真言 しんごん)のことを言います。これとcoping(=コーピング、乗り切ること)を結び付けて、コーピングマントラ(乗り切りの呪文)という言い方になったのだと思われます。

今回はAmenなどの聖なる言葉をマントラ(呪文)として唱えるやり方(以下マントラ療法)をPTSDの治療に使った効果を示した論文を紹介します。

マントラの復唱を使った心的外傷後ストレス障害の個人療法:無作為化臨床試験

Am J Psychiatry. Published online June 29, 2018.

他の心理療法(present-centered therapy 現在中心療法:以下PCT)との比較のため、PTSDの診断基準を満たす退役軍人から成る2つのグループで、一方にはマントラ療法、他方にはPCTを行いました。

結果として、マントラ療法がPCTに比較して大きくPTSDの症状を軽減し、睡眠障害を改善させる効果がありました。(例として、CAPSという点数が高いほどPTSDの症状が重いことを示す検査で、治療終了後で9.98点、治療終了2か月後で9.34点だけマントラ療法の得点が低いという結果がありました)

その他、比較の仕方によっては大きな差の生じていない場合もあったようですが、概ねマントラ療法の効果は大きいという結果でした。

日常生活でも、不安や怒りに飲み込まれそうになったり、眠れないときに、自分のお気に入りの言葉を唱えるような簡単な方法が、非常に役に立つ可能性を示しているように思われました。

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