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「病気」として考えること


昨日に引き続いて新しい病気の分類(ICD-11)についてご紹介します。

今回の改定にともなって追加された章の一つに「第17 章 性保健健康関連の病態」があります。

以前の分類ではsexual incongruence(性別不一致、性別不調和? 以下SI)は精神保健の章に含まれていました。

しかし、今回はSIについてより正しい理解を促すため、新しい章で別個の扱いにしてあります。

SI自体は現在、病気としては認識されていません(環境との相互作用によって起る二次的なうつ病等は病気としての扱いになります)。

今回の章立てを採用するにあたって、SIを精神疾患の章に分類することは、病気としての認識や偏見を促すことになるという判断があったようです。

私もメンタルクリニックに勤務していた際に、SI(当時は“性同一性障害”という呼称でした)について、それを病気として説明して良いか非常に迷ったことがあります。

「現在の診断基準ではこういうふうになっていますので、あなたは病気です」

というのも、一つの説明なのかも知れませんが、余りにも一面的な気がするのです。

同じような感覚は発達障害、パーソナリティー障害、適応障害などの様々な精神的「病気」あるいは「障害」にも感じていて、これらの診断名をどのように扱うべきか、その方が抱えている苦しさの本質と本当に関わりがあるのか、判断に苦しむことがあります。

今回のICD改訂からも、安易に「病気」や「障害」であると診断することが、人を傷つける可能性について考えさせられました。

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