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医師は患者に来院の理由を尋ねているか?


医師と患者さんとのコミュニケーションに関する論文があったのでご紹介します。

Eliciting the Patient’s Agenda- Secondary Analysis of Recorded Clinical Encounters 患者の話題を引き出すことー記録された臨床場面の二次的分析

患者さんを意思決定の中心として位置づけるためには、受診理由を十分理解することが重要であるとされています。考えてみるとこれは当然のことで、病院に来た理由も訊かずに治療方針が検討されると、注文も訊かずに料理を出す飲食店のように、望んでいるものが得られる確率が低いように思われます。

結果は次のようでした。

まず112回の受診のうち、医師が患者さんから話題を引き出すようにしていたのは40回(36%)のみ、さらにその40回のうち27回(67%)では、平均11秒で医師が患者さんの話をさえぎっていました。また、プライマリケア医師(一般の内科医)のほうが、専門医よりも、話題の引き出しを行う割合が高く(49% vs 20%)、話をさえぎる割合が低い(63% vs 80%)傾向がありました。

以前の調査(1984)では内科の受診で患者さんの話がさえぎられる割合が69%、その平均時間は18秒でしたので、時が経っても患者さんの話を聞かない傾向はあまり変化がないようです。

本文中に理由として、①十分に時間がないこと(実感として、毎日の臨床は時間との戦いと言えると思います)、②医師が疲弊していること、③不適切なコミュニケーションスキルが挙げられていました。

様々な制約条件はあるにしても、せめて②と③は改善して、患者さんの満足度が高い医療を実践したいと思いました。

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