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ADHD治療薬と精神症状との関係


メチルフェニデートは以前からADHD(注意欠陥/多動性障害)の治療使われている薬ですが、精神症状(幻覚など)の副作用が出る可能性について指摘されて来ました。

ただ、頻度や可能性について不確かな面が多く、明言がさけられてきたところがあります。

この点をもう少しはっきりさせようというのが今回ご紹介する論文の目的です。

児童思春期のADHDに対するメチルフェニデート投与で生じる幻覚やその他の精神症状

10個のRCT(信頼性の高い方法をとった試験)と17個のnon-RCT(信頼性という点ではやや劣る方法をとった試験)を集めて解析され、試験に参加した方のうち1~2.5%が何らかの精神症状を経験しました。しかし、メチルフェニデートの服用がこの副作用の出現に対してどのような影響を与えるのかは、試験の質や対象者の数の問題もあり、結論が出ませんでした。

今までに発表されている論文の中にはメチルフェニデートが精神症状の出現率を上昇させるとの結果もあるのですが、そうした論文の結果をそのまま鵜呑みにするのには、バイアス(データの偏り)や試験方法の信頼性の点で問題があるとの結論でした。

ただし、メチルフェニデートは現在ADHDの治療薬としてFirst-Line(最も選択されやすい薬)であり。もし、副作用の危険率を上昇させるのであれば、上昇自体はわずかでも、治療を受けている方全体に及ぼす影響は大きいことが懸念されます。

今後の結果に注目すると同時に、普段の臨床でも使用に際して注意し、患者さんへの説明を怠らないようにしたいと思いました。

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