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心の傷は精神病を発症させるのか?


以前から子どもの時の深いショックを伴う体験は、後に精神病性の疾患(幻覚や妄想を含んだ症状を示す精神疾患)をひき起こすという説があります。

これとは逆に環境による影響よりは生物的な素因を重視して、精神病は心的外傷では生じないのではないかと考える立場もあります。

今回は、この「小さなときの精神的ショック→後の精神病」という因果関係について調べた研究です。

子どもの時に経験した心的外傷のタイプ、年齢、頻度とその後の精神病症状の関連

大きな規模の集団(参加者数4000人程度)を経年的に調べた結果、心的外傷とその後の人生における精神病症状の発生との間には因果関係がありました。おおまかにいって、心的外傷にあたるような体験がなかった場合に比べて3倍近く精神病性の症状を経験する確率が高まったとのことです。

他には、ある特定のタイプというよりは多様なタイプの心的外傷を、繰り返し経験するほうが、発症する可能性は高いという結果が得られました。

PTSDや神経症性の疾患など、明らかな外的要因の指摘されることの多い疾病のみでなく、幻覚や妄想などの精神病性の症状も、心的外傷により惹起されることが示されました。このように子ども時の心の傷つきは、疾患の範囲を限定せず、後年の人間の精神に大きな影響を及ぼすと考えられました。

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