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終末医療の援助には個別性や信念に対する配慮が大切


自分にとって大切な人が呼吸器を付け、集中治療室のベッドに横たわっているとき、どんな決定をするのか?

現在の医学で可能なあらゆる手段を用いても、大きな改善をもたらさないような重篤な状態に陥ったとき、そこからどのような結論を導きだせるのか?

今回は、本人が意思決定を行えないとき、代理者が治療方針(延命の方針)を行うことを目的としたWeb上の援助ツールが本当に役立つのか検証した研究をご紹介します。

長期呼吸管理状態にある患者代理人のための、オンライン意思決定援助ツールの有効性について

13ユニットのICU(集中治療室)にいた277人の患者の代理人(416人)と427人の臨床家(医師と看護師を含む)が調査の対象となりました。

援助ツールを使う場合は、①まず、1日目にツールを通して患者ごとに作成された現在の医学的状に関する情報提供を行い、今後予想される経過と治療に関する選択肢を提示します。さらに、様々な手がかりから、代理人が本人の価値観(もし、このような状況に陥った場合の意思決定のあり方)について知る援助を行います。②2日目に家族間での話し合いを開き、最終的な決定をしてもらいます。

結果としてツールを用いることによる影響に関して、以下のようなことが示されました。

1.代理人と臨床家の意見一致を促す効果はない。

2.代理人のうつや不安症状を軽減することはできない。

3.代理人のこれからどうなるかの臨床的予測に関する理解には役立つ。

4.代理人の意思決定に関する葛藤の軽減には役立つ。

つまり、意思決定の過程の一部には役立つことができても、最終的な決定の一致や代理人の精神症状軽減には役立たないということになります。

論文中の議論でも触れられていましたが、何かについて「知ること」と、それについて「決めること」との間には大きなギャップがあり、その過程には情報以上に、代理者の信念(行動原理)が影響すると思われます。

今後はより個別性を重視した、信念や感情へ配慮した援助を行えるしくみ(対人やそれを助けるツール)が望ましいと考えられました。

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