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PTSD症状の脳機能的理解


まずはPTSDの一般的説明をさせてください。

心的外傷後ストレス障害(PTSD):生命や安全を脅かされるような著しく驚異的な体験(心的外傷体験)を契機として、フラッシュバックなどの「再体験症状」、外傷を想起させる場所など回避する「回避症状」、興味や関心が乏しく、物事が楽しめなくなる「麻痺症状」、不眠、イライラ感、集中困難が生じる「覚醒亢進症状」が出現する。(1ヶ月以内を急性ストレス障害と呼ぶ)

上記のような症状について、同じ体験をしても症状が出現する場合としない場合、症状があっても重度の場合と軽度の場合があります。

今回ご紹介するのは、このようなPTSD発症のしくみに関わる研究です。

戦闘中の心的外傷による後遺症で出現する恐怖の神経学的測定

戦闘による驚異的な体験をした54人の退役軍人が対象となりました。

重度のPTSD症状を示す患者に様々な程度の怒り表情を写真で見せ、機能的画像(脳の働きが分かる画像検査)で扁桃体と縫線核の反応を分析したところ、怒りの程度(それが危険なレベルなのか)の認識能力が低下していることが分かりました。

2種の刺激の組み合わせに関する学習を「連合学習」と言いますが、上記の所見により、重度のPTSD患者では、ある対象が安全なのか危険なのか判断する際の「連合学習」の支障があると考えられました。

同じ出来事を経験してもショックを受ける方とそうでない方がいると思うのですが、こうした場合にどうしても、強い影響を受ける方が「精神的に弱い」というような表現をされてしまう傾向があります。

ある対象や出来事から受ける影響の大きさについて、脳機能的な基礎が分かることで偏見が減り、苦しみが改善される方法につながることが望ましいと考えました。

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