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学校は行かなくてもいい 小幡和輝:著


まず、タイトルについてですが、中で本当に「学校は行かなくてもいい」という論を展開しているわけではありません。少なくともしばらく学校に行かないという選択をしたときに、どのようなことが考えられるか、視野を広げる内容だと思っていただけると良いと思います。

著者は、長期間の不登校を経験し、今は地方創生ファンドの設立やイベントの開催等を行っている小幡和輝(おばたかずき)さんです。

小幡さんが書かれている部分には、「もし(通常の)学校に行かないのならこういう選択肢がある」ことが、実体験を含めて書かれています。

小幡さん自身も適応指導教室や定時制の高校に行き、多くのことを学んだと書かれており、やはりできれば学校(あるいはそれの代わりになる場所)にはいった方が良いという立場のようです。

ただ、その時の重点は人とのつながりを持つことであり、「学校」という組織そのものに適応することを絶対としているわけではありません。全体を通して、主眼は「学校に行かなかった時間」をいかに充実させるかというところにあるように思います。

可能な限り、「学校」に行かせることを考えているときに、別の選択肢を提示することは「逃げ」の方向を示すことになりそうな気がして、抵抗があると思います。しかし、どうしても「学校」にだけは行けないと認めざるを得なくなったときに、「じゃあ、どうするか」という疑問をここでは投げかけています。

「学校」に行くことをあきらめても、「生きること」や「希望を持つこと」をあきらめる必要はなく、むしろ、それによって広がる世界もあるのではないかと、そういう可能性を示しています。

うまく行く場合というのが、レアケースではないかという印象もありますが、おそらく、そのような方向性を強く志向する意志があるところでは、レアか、そうでないかはあまり議論しても意味がないかもしれません。実際に、上手くいく場合もあるよ、という可能性を提示してあげることは必要であると感じます。

この本には、小幡さんだけではなく、起業家として有名な家入一真(いえいりかずま)さんなど、不登校を経験し、今は社会で自分なりの生きる道を見つけられた方のインタビューも掲載されており、読み応えがあります。

本当に、読まれた方の視野が広がるかどうかは分かりませんが、こういう人もいるということを知る機会になるのではないかと思われました。


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