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ヒステリー症状の基礎について


“ヒステリー”という言葉について、特に女性の情動不安定について使用されることがあります。

しかし、専門的には心理的要因が意識障害や身体症状に転換されることを意味するので、大きく一般的なイメージと異なっている言葉です。

身体的には何の異常もないのに、気を失ったり、声が出なくなったり、歩けなくなったりするので、非常に理解しがたい病態として、周囲の人からはわざと演技でやっているように誤解されることがあります。

疾患の存在を理解していただくこと自体が、患者さんが病気を治していく環境を整えるために重要です。

今回は、この“ヒステリー”において生じている脳内での変化について調べた研究をご紹介します。

機能的運動症候群における辺縁系の神経科学的変化

よく知られているMRIと類似で、物質の分布を測定できるMRS:magnetic resonance spectroscopyという画像が用いられました。

様々な物質の分布を、ヒステリー症状(機能的運動症候群:FMS)のある脳と、正常な脳で比較しました。

物質のうち、グルタミン酸が、辺縁系と呼ばれる脳の部位だけで、増加していました。

さらに、運動症状の重症度と精神機能の障害程度は、グルタミン酸の分布の割合と関連していたといいます。

これまでほとんどメカニズムの知られて来なかった「体は悪くないのに症状だけ存在する」という状態の基礎を知ろうとする試みは重要です。この病気が深く理解され、患者さんが治療を受けやすい環境が整うことが望まれます。

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