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薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつきあい方 著:Dr.ロバート・メリロ


運動によって脳に働きかけて、脳の機能障害を改善するための方法が説かれています。

著者は「機能的ディスコネクション症候群(FDS)」という疾患概念を提唱しており、発達障害などの脳の機能的障害に由来する多くの疾患がこの中に含まれると述べています。

そして、脳の機能的障害を治療するためには左右のブレインバランスを取り戻すことが大切であるとし、様々なエクササイズで左脳と右脳のバランスを取り戻す試みが載せられています。

前半部分は、「機能的ディスコネクション症候群(FDS)」という疾患概念の説明やその根拠、脳の機能的異常が生じるしくみなどの解説にあてられています。

そして、後半には左右のブレインバランスの評価方法(アセスメント)に大きな紙面がさかれ、後に実際のエクササイズの方法が述べられています。

それぞれの節の冒頭に、エクササイズの成功例が感動的な筆致で描かれており、その効果に対する期待感が膨らみます。

実際、著者が主催するセンターでは大きな成果を上げているのかもしれません。

しかし、私見に過ぎませんが、この本を読んで家庭で実施するのは非常に困難ではないかと思われました。

まず、アセスメントが非常に重視されており、詳細に書かれているのは有り難いのですが、煩雑過ぎて、実際に実施できるような感覚を持つことができませんでした。

また、視覚的な理解が重要な内容であるにも関わらず、(少なくとも私が接した運動療法をすすめる他の本よりも)図示が少なく、エクササイズの説明などを自分が本当に正しく理解できているのか確信が持てませんでした。

この種の本で大切な実行へのハードルを下げる工夫に欠けており、少なくとも万人にすすめることができない内容であるように思われました。

本書は身体的なアプローチにより、発達障害をはじめとする脳の機能的異常に大きな改善をもたらせるかもしれないという、非常に希望を持たせる内容となっています。

取り組みにくさの難点を挙げてしまいましたが、発達障害の身体的アプローチという内容に関して、興味のある方にとっては、情報量も多く、一読の価値があると思われました。


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