現在、認知症(特にアルツハイマー型)を診断するために、記憶に関するテストの他に画像検査(MRI以外にも機能的画像検査も)や場合によっては脊髄液を採取するための腰椎穿刺等が行われることがあります。
少なくとも外来ですぐに済む検査ではなく、簡便・安価とは言いにくい内容となっています。
今回は、簡単な記憶の検査と臭いの判定テストでアルツハイマー型認知症を除外できるかを調べた論文をご紹介します。
認知テストと嗅覚が正常であれば認知症へは移行しないことが分かる
都市部に住む認知症のない1037人の高齢者が調査の対象となりました。
対象者に嗅覚に関するテストと認知テスト(Blessed Orientation Memory Concentration Test )を行い、4年間認知症発症の有無について追跡しました。
実施した嗅覚テストのうち、12項目からなる簡単な“B-SIT:2-item Brief Smell Identification Test ”と上記の認知機能検査の組み合わせで、今後4年間認知症を発症しない人を96.6%の確率で除外できることが分かりました。
つまり、この2つのテストで引っかからない場合は、ほぼ間違いなく今後4年間認知症にならないと言えます。
臭いのテストの実施法が本当に外来で簡便に実施可能なのか、必要な時間や検査キットを作成したときの経済的負担等、実際に行う場合には多くの気になる点がありますが、非常に正確に認知症にならない群を判別する検査であり、導入により大きなメリットが期待できると思われました。