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好んだ治療を受けることは低い脱落率と治療効果につながるか?


患者さんが治療の選択肢を示された上で、好みの治療を受けることは少なくとも治療からの脱落を少なくすると思われます。

このイメージは実際に先行する研究で確かめられていますが、今回は特に心理社会的介入についての同様の結果が得られるのか、また治療上の良い結果に結びつくのかを調べた研究について説明させてください。

多数の文献を分析・統合し、信頼性の高い結果を得ようとする手法(メタアナリシス)で、5294人の参加者を含む29の研究(ランダム化比較試験)が分析の対象となりました。

患者が好む治療を受けたグループと、好まない治療を受けたか、そもそも選択肢自体を示されなかったグループとに分けて、出席・脱落・治療上の信頼関係・うつと不安の尺度・機能評価・満足度・寛解率について比較がなされました。

結果として

①患者の好む治療を受けたグループが、心理社会的介入についても脱落率が低かった。

②治療による効果については2つのグループの差が明らかではなかった。

つまり、心理社会的介入について、患者の好む治療を行うことは、少なくとも脱落を少なくすることにはつながる。しかし、必ずしも治療の結果を改善しない、ということになります。

治療の成績のみを考えると、患者さんの好みに左右されるのは望ましくないかもしれません。しかし、脱落を防がなければ、そもそも治療を継続することができないので、少なくとも治療の選択肢についての説明を丁寧に行い、できるだけ納得の上で治療を受けて頂くことが重要であると思われました。

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