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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

TMS(経頭蓋磁気刺激)はアルコール依存症に有効か?


TMS(経頭蓋磁気刺激)については、日本では主に薬剤の効果が不十分なうつ病について行われています。


海外では、睡眠障害、強迫性障害、統合失調症、認知障害、発達障害等にも部分的に有効であることが示されていますが、証拠の質や量には幅があり、どの病態でも積極的にすすめられるという選択肢ではありません。


また、TMSには様々な方法があり、疾患の種類によっては方法を限定して行う必要があります。


今回は深部に到達するTMS(dTMS)について、アルコール依存症への効果を調べた研究をご紹介します。


アルコール依存症に対する反復経頭蓋磁気刺激の効果


最近断酒を行い、依存症治療を求めているアルコール依存症患者(中等度以上)51人が対象となりました。


偽刺激を対照として用いた比較試験で、刺激方法としてH7コイルという機材を用いて深部まで到達するTMS(経頭蓋磁気刺激)を行い、内側前頭前皮質(mPFC)と前帯状皮質(ACC)に目標部位を定めています(設定は10Hz、30パルス/トレインで1セッション100トレイン。3週間にわたる合計15セッション)。


結果として、12週間の観察期間におけるアルコール多飲の日(ヘビー・ドリンキング・デイ)がTMSを行った場合、明らかに減少していました(偽刺激は平均10.6日 vs TMSで平均2.9日)。


つまり、“dTMSを行った後では、アルコールの多飲につながるようなアルコールに対する渇望が低下する可能性がある”と言えそうです。


以前の研究では禁煙に対する効果も確認されており、物質依存に対するTMSの効果がさらに確認できる可能性を感じました。

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