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うつ病と炎症との関連について

 

うつ病と炎症との関連を指摘した論文は数多く存在しますが、今回は大きな規模で遺伝的な要素も含めて検討した論文をご紹介します。


遺伝、健康に関する習慣、心理社会的要素と独立したうつ病患者におけるCRPの上昇


うつ病の既往がある約27,000人と比較対象としてのうつ病の既往や抗うつ薬の服薬歴のない約59,000人が研究の対象となりました。


上記の対象者について炎症によって上昇する血液中の物質(CRP)と遺伝的要素(多遺伝子リスクスコア)や喫煙習慣、BMI(体格指数)を調べ、うつ病の既往と関連を調べました。


結果として以下の内容が示されました。

①うつ病の既往があった場合には、炎症の指標であるCRPの値が高く(うつ病の既往有2.4mg/L vs 2.1mg/L)、低レベルの炎症状態にある人の割合が高くなっていました(21.2% vs 16.8%)。

②うつ病に関する多遺伝子リスクスコアは(調整前では)CRPと関連していましたが、これはBMIと喫煙に関して調整すると、明らかではありませんでした。

③うつ病の既往とCRPの関連については、BMIや喫煙、性別、年齢について調整しても、明らかでした。


つまり、“うつ病の経験がある人では他の要素の有無に関わらず炎症が起こっている場合が多い”ことが示されました。


うつ病全体が体や脳の炎症で説明されるというわけではないかもしれませんが、直接・間接的に何らかの炎症が介在している可能性が考えられました。

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