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“ため込み症”の脳画像における異常所見


他者から見たら無価値な物も含まれる様々な物をどうしても捨てることができず大量にため込んでしまう症状について、“ため込み症(強迫的ため込み障害: Hoarding Disorder)”という名称が用いられることがあります。


今回は、いわゆる“ごみ屋敷”の原因ともなり得るこの障害について、脳の画像検査から客観的異常を見い出そうとした研究をご紹介します。


ホーディング障害(ため込み症)における脳白質の構造異常


ホーディング障害(ため込み症)の患者25人(平均43歳)と比較対照として健常者36人が研究の対象となりました。


脳白質における異方性(anisotropy)等の微細構造の変化をコンピュータによる統計的処理によって捉え、健常者と比較した結果を分析しました。


結果として、以下のことが示されました。

①脳の拡散強調画像により、白質の広い範囲でホーディング障害(ため込み症)における脳微細構造の異常が認められました(例えば、上縦束と呼ばれる領域等で、異方性度: fractional anisotrophyの低下が起こっていました)。

②微細構造の異常は、ホーディング障害(ため込み症)の症状が著しいほど、大きくなっていました。


つまり、“ため込み行動が問題となるホーディング障害(ため込み症)では、脳の微細な構造上の問題が生じている可能性がある”と言えそうです。


他者から理解されにくい障害について、脳の粗大な構造変化はなくても、神経走行の変化等の微細構造において、客観的所見が得られる可能性(障害の程度を評価できる可能性)を感じました。

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