top of page

インスリン抵抗性は統合失調症の病態と関連するか?


統合失調症と糖代謝の異常(糖尿病)の関連性に関しては以前から指摘されてきました。


統合失調症⇒糖尿病の原因については、統合失調症の精神症状による自己ケア能力の低下や抗精神病薬による副作用、体重増加を介したしくみなど、多くの要因が検討されてきました。


今回は、一部の統合失調症が持つ遺伝的要因が、糖尿病の発症に関連しているかもしれないという内容の研究を紹介させてください。


統合失調症の多遺伝子リスクスコアと抗精神病薬への反応の関連


初発(初めて症状が出現した)、無投薬の統合失調症に罹患した58人(と対照するための健常者58人)が分析の対象となりました。


統合失調症に罹患しやすい傾向を調べるため108か所の遺伝子座が調べられ多遺伝子リスクスコアが計算されました。


結果として、以下の内容が示されました。

①インスリン抵抗性と統合失調症との関連は明らかでしたが、遺伝的傾向(多遺伝子リスクスコア)との関連は明らかではありませんでした。

②インスリン抵抗性が高い場合には、頻繁に薬剤変更が行われていました。


つまり、統合失調症の全体的遺伝的傾向と糖尿病との関係ははっきりしないが、統合失調症の中でもインスリン抵抗性が高いグループが存在し、それは統合失調症の薬剤に対する反応などの病気の経過に影響する……という内容のようです。


現在、統合失調症は一つの病気ではなく、多くの病気を共通の症状でまとめた症候群に過ぎないという議論がなされているので、「統合失調症」という病気を基礎に考えることが難しいと言えるかもしれません。


「統合失調症(高インスリン抵抗性タイプ)」をひとつの疾患と考え、薬剤反応について特徴のあるグループとして治療を検討することが論文の中でも提案されていました。


実際、どのようにタイプの判別を行い、グループ化を行うことに対してどのようなメリットがあるのか、コストとの対比で明確になれば、細分化を行う理由があるように思われました。


#統合失調症


閲覧数:215回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page