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パーキンソン病薬でアルツハイマー病の症状を改善する


パーキンソン病は、脳の神経伝達物質であるドーパミンの働きが低下するために起こる疾患として知られています。


そして、パーキンソン病の症状軽減に使用される貼付剤に「ロチゴチン」というドーパミン受容体(ドーパミンが働くための受け皿のような部位)を刺激する薬があります。


今回は、このロチゴチンがアルツハイマー病でも脳の機能改善に役立つかどうか調べた研究をご紹介します。


軽症から中等症アルツハイマー病患者の認知機能に関するロチゴチンと偽薬の効果比較


軽症から中等症のアルツハイマー病患者94人(平均73.9歳、58人が女性)が調査の対象となりました。そして、ランダムにロチゴチンを貼付するグループと偽薬を使用するグループに分けました。


まずは、24週間ロチゴチンを貼って、全体的な認知機能を調べる検査( Alzheimer Disease Assessment Scale–Cognitive Subscale)を行い、次により詳しい検査(脳の部分的機能を調べる検査)を行いました。


結果として、以下の内容が示されました。

①全体の認知機能としては、ロチゴチンと偽薬とに大きな差はありませんでした(スコアでの比較 ロチゴチン2.92 vs 偽薬2.66)。

②さらに詳しい検査を行ったところ、脳の前頭葉機能を調べる検査(ロチゴチン0.48 vs 偽薬-0.66)、活動性を調べる検査(ロチゴチン-3.32 vs 偽薬-7.24)、脳波上の反応を調べる検査でロチゴチンによって脳の機能が改善している可能性を示す所見が認められました。


つまり、ロチゴチンを貼付した場合には、全体の認知機能には大きな効果を認めないけれど、ドーパミン受容体を刺激することで、前頭葉の機能が改善したり、活動性が向上したりする可能性がある、ということになります。


ロチゴチンの特徴として貼付剤で血中濃度が安定し易く、部分的にでもアルツハイマー病の症状改善に役立つ選択肢として期待できる薬剤であると思われました。


#認知症

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