若年の女性が全般性不安障害やパニック障害に罹患した場合、疾患自体や治療に使われる薬物の妊娠に関する影響について心配されることがあります。
今回は、妊婦が不安関連の疾患に罹っている場合の影響について、主として出産時の合併症について調べた研究です。
パニック障害、全般性不安障害、ベンゾジアゼピンによる治療と出産リスクとの関連
2,654人の妊婦(パニック障害98人、全般性不安障害252人、ベンゾジアゼピン:抗不安薬服用67人、SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害薬服用293人)が調査の対象となりました。
結果として以下の内容が示されました。
①服薬の要素を除いた場合、パニック障害や全般性不安障害に罹っていること自体は出産時のリスクに影響を与えていませんでした。
②ベンゾジアゼピンやSSRIの服用は呼吸の補助が必要になる場合が増えたり、妊娠日数が減少したりする影響を与えていました(例:SSRIで1000人に対して152人の割合で呼吸補助が増加、妊娠日数が1.8日減少)。
疾患そのものよりは服薬の影響が大きいという結果になりましたが、この影響を大きいと見るかは意見が分かれるところだと思われます。
しかし、少しでも出産に関するリスクを減らしたいという視点で考えると、疾患を悪化させないように注意しながら服薬の減量や中止について相談することになると思われます。
ただし、病態が不安定になることによる胎児への影響の方が大きくなる可能性もあり、極端な方法での服薬中断は避けるべきであると考えます。
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