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分離不安が自殺の危険性を高める


家や大切な人から離れる時に繰り返し強い不安が生じる場合に、“分離不安”と呼ぶことがあります。


幼い児童では疾病と考えられることは少ないのですが、成人で継続して生じる時には“分離不安障害”という診断名が当てはまることもあります(一般的には単に“不安障害”や“適応障害”として診断されることが多いと思われます)。


今回は、“分離不安”がある場合には、自殺のリスクが上がるのではないかという内容です。


気分・不安障害の罹患者における分離不安と自殺リスクの評価


不安障害または気分障害の診断基準を満たす精神科の外来患者509人が研究の対象となりました。


分離不安や自殺の危険性に関して、複数の尺度を用いて調べました。


結果として以下の内容が示されました。

①希死念慮がある人たちの中で分離不安のある割合が高くなっていました(53.6%)。

②分離不安がある場合には希死念慮の出現する可能性が高くなっていました(オッズ比1.86)。他にも、うつ病に分離不安を伴う時には、自殺リスクを特に上昇させる点が示されました。


つまり、“うつや不安に、特に分離不安を伴う時に自殺の危険性に注意する必要がある”と言えそうです。


親しい人と離れることに一定の不安を伴うことは止むを得ないかもしれませんが、あまりにも過剰に繰り返し出現する場合は、希死念慮を含めて病的な症状の原因となり得る点に注意が必要と思われました。

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